2018.07.26(木)
スマート農業・配達・宅配に!積極的に進められるドローンの実用化

長時間、外で作業をする農業はとても大変ですよね。「農業しているけど、水やりや農薬撒きとか時間かかって仕方ないよ……」と思っているかたも少なくありません。
しかし水やりや農薬撒きなど、人の手ではなく機械を使ってできるならとても楽に作業できるようになるのではないでしょうか。
そこで使えるのがドローンです。ドローンを使えば、人の手を使ってする作業を減らすことができます。ドローンのような最先端機器を使って、作業の効率化などを進める計画を新産業構造ビジョンといいます。今回は、新産業構造ビジョンのなかでも、スマート農業などドローンの実用化にスポットを当ててお話ししていきましょう。
経済産業省がまとめた「新産業構造ビジョン」

現在、世界的に人工知能やロボットなどの開発が進められています。人工知能やロボットなどの最新機器を人々の生活のなかで役立てることによって、より豊かな社会を作っていくことを目標として経済産業省が作ったのが「新産業構造ビジョン」です。
新経済産業ビジョンでは大きく分けて以下の4つの基本戦略が定められています。
・人やモノの移動
・AIやロボットを使うことで製造・生産現場の作業の高度化や効率化
・健康の維持を目的としたAIやロボットなどの活用
・最近機器を活用した新たな町作りなど、暮らしの向上
このように、最新機器を暮らしのなかに組み込む動きは年々高まっています。
そのなかでもドローンは、新産業構造ビジョンが打ち出された初期から活用を見込まれてきました。
とくにドローンを利用したスマート農業や配達・宅配への利用などを提唱する動きが活発になっていったのです。
スマート農業におけるドローンの活用とは

ところでみなさんはスマート農業という言葉を聞いたことはありますか?スマート農業は、最新の技術を使って農業を行うことで、農業の生産性や作る作物の品質を向上させることを目的とした最先端の農業です。
じつは、スマート農業が提唱されるようになった背景には農業を仕事にしている人が少なくなってしまったことがあります。
仕事をバリバリこなせる15歳~64歳は生産年齢と呼ばれていますが、この年代で農業を行っている人は、2015年から15年間の間に1,000万人近く減少するといわれているのです。
確かに農業は長時間外仕事を行わなければならず、重労働を強いられます。だからこそ、人出が必要な部分を機械にさせることで、労働時間の短縮や作業の軽減ができるのです。
そのため、スマート農業ではドローンの導入が進められています。ドローンを活用することで、きつい農作業をずっと楽にできるようになるのです。
スマート農業でのドローン活用法には以下のものがあります。
精密農業
ドローンにセンサーやカメラを設置することで、広範囲の田んぼや畑の状況を知ることができます。土壌や作物の温度状況などを観測したりすることで、適切な状態で水やりなどを行えます。
農薬散布
人が行っていた農薬撒きも、ドローンに農薬タンクを取り付けることで自動的に行うことができます。
人の手で撒くよりも広範囲を手早く撒ききることができるので、作業時間を大幅に短縮することが可能です。
このように、ドローンはスマート農業の代名詞といってもいいほど、効率的に農作業を行なえるようにしてくれるのです
日本の物流を変える?ドローン配達について

ドローンはスマート農業を進めていく上でとても役立つものです。同じように、ドローンは配達・宅配などでもとても役立つといわれています。
現在ドローン宅配便が実用化されつつあります。ドローン宅配便のメリットは、配達時間を短縮し、人件費を減らせるところにあります。
実際どのような形でのドローン宅配便の実用化が検討化されているかをご紹介しましょう。
①トラックで宅配先の近距離までドローンと荷物を載せて走る(大体目的地の1~2km付近)
②トラックのなかでドローンに荷物を積み、自動操縦で配達先に向けてドローンを飛ばす
③ドローンが飛んだのを確認したらトラックは次の目的地に向かって出発する
④荷物を配達し終わったドローンは、自動的にトラックを追いかけて戻ってくる
今後のドローン事業における課題点
スマート産業やドローンでの配達・宅配など、ドローン事業はさまざまな形で広がりを見せています。人の手がなくても自動で動くドローンはとても便利なものですが、本格的に実用化していくにはなかなか難しい部分があるのが現状です。
ドローンを宅配・配達などで使おうとすると、どうしてもいろいろな家や土地の上、道路の上を飛ぶことになります。現状の法律では、土地の所有者の承諾がないと土地の上空でドローンを飛ばすことはできないのです。
同様に、道路の近くでドローンを飛ばしていても道路交通法違反になってしまうおそれがあります。道路には電線が張ってあることも多く、電線にドローンが引っかかってしまうと、停電がおこるかもしれません。
また、現在のドローン技術ではフライト時間は長くても30分程度といわれています。飛行距離もそこまで長くないので、配達するときも少ない荷物を短距離間でしか運べないのが現状です。
それでも、ドローンが人々の暮らしに役立つものであることは変わりません。現在は法律の整備や飛行距離や時間の延長など、さまざまな面でさらにドローンを活用できるよう改良が重ねられています。
まとめ
ドローンは、経済産業省が提唱する新産業構造ビジョンの一角として大いに活用が期待されています。ドローンを使うことで作業時間が短縮されたり人の手があき、さらに効率よくいろいろな作業を行っていくことができるようになるからです。
しかし、ドローンにはまだまだ実用化に向けて課題があるのが現状です。それでも、国をあげてドローン実用化に向けて動いています。
近い将来、ドローンを使ってスマート農業や配達・宅配だけでなく、もっと多くの作業ができるようになるのではないでしょうか。
