2019.01.30(水)
ドローンで産業革命が起こる!?これからのビジネスで活躍する新兵器

みなさんは、ドローンの活用法と聞いてなにを想像するでしょう。「実際にドローンを見たことがある」という人はあまりいないかもしれないので、飛ばして遊ぶくらいしかイメージがないという人もいるかもしれません。
しかし、ドローンが活用されているのは、そういったプライベートな場面だけではありません。じつはドローンは産業においても活用されているのです。
今回は、そんなドローン産業についてお話していきたいと思います。ドローンは産業でどのような使い方をされているか、や実際に使われている産業用ドローンを紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
さまざまな場所で活躍するドローン
ここでは、実際にドローンが産業の場で活躍している事例をご紹介します。以下の産業に特化した機種の開発も進んでおり、ドローンを使うことが当たり前になるのも近いといわれています。
農業
農業におけるドローンの役割とは、主に農薬散布です。人の手でおこなう場合、現在では大きなスプレーのような農薬散布機を使うのが一般的ですが、この方法ではかなりの時間がかかってしまいます。また、人間に直接農薬がかかってしまう農薬被ばくの危険もあります。
一方ドローンによって農薬を散布する場合、上空から一気に散布できるので非常に効率的です。操縦者はドローンから離れて操作するため、農薬被ばくの危険性も高くありません。
測量
測量には測量機を用いた地上測量と、空撮による写真測量という方法があります。
写真測量をおこなう場合には、小型の航空機を使うことが多いようですが、時間も費用もかかってしまいます。そこで登場するのがドローンです。
ドローンによる空撮であれば、手早く安価に写真測量をおこなうことができます。また、ドローンは航空機に比べて低空を飛空することができるため、より解像度の高い精密なデータを取得することができます。
インフラ点検
高架などを調べる必要があるインフラ点検の業界でも、ドローンは活躍しています。
インフラ点検の対象はたいていの場合、高い場所や入り組んだ場所にあり、人が入り込むのは簡単ではありません。その点、ドローンであればその飛行能力によって高い場所の点検も容易ですし、機体サイズが小さいので入り組んだ場所でも点検が可能です。
また、ドローンには通常のカメラだけでなく赤外線カメラなどの特殊な機材も搭載することができます。人の目で確認するよりも正確なインフラ点検ができるといえるでしょう。

産業用ドローンとして活躍している機種
ドローンの産業への参入にともなって、各産業に特化したドローンも販売されるようになりました。ここでは、現在すでに実用化されている産業用ドローンを紹介していきます。
DJI×ヤンマー MG-1
ドローン開発では世界トップシェアを誇るDJI社と、これまで数々の農業機械を開発してきたヤンマー社とが手を組んだのがこのMG-1です。空中からの農薬散布を専門としたドローンになります。
単に空中から農薬を散布するというだけでなく、地形認識能力や自立散布システムにより、効率的に農薬散布をおこなうことができます。プロペラから拭き降ろす風によって、作物の葉裏や根本にまで農薬を散布できるのも特徴です。
enRoute LS1500R
こちらのドローンは測量に用いられるドローンです。3次元レーザースキャナーを搭載し、空中から地上を計測することができます。
従来の航空写真測量では、文字通り航空写真を使っていたため、地上に障害物がある場合はうまく測量できないという弱点がありました。木々の生い茂る山肌などは測量できないのです。
その点、LS1500Rのレーザースキャンであれば、障害物を除外した地表面のデータを取得することができます。人や航空機が立ち入ることのできない狭いところでも測量可能というメリットもあります。
DJI MATRICE 200
MATRICE 200は、インフラ点検や捜索救助といった場面で活躍しているドローンです。その特徴はなんといっても耐久性です。過酷な環境でも動作することができるよう、強風に耐えるモーターや高い密閉性などを誇ります。その高い耐久性を活かして、風力タービンの点検などをおこなっています。
日本は遅れている?海外のドローン産業
ドローンの産業界への参入は世界中で目覚ましいものがあり、さまざまな業務をドローンがまかされています。
たとえば、中国などでは報道現場までドローンを飛ばして撮影するようです。ドローンを活用することで、交通などを気にすることなくすぐに報道現場へと直行できるメリットがあるためでしょう。ドローンだからこそスクープできるニュースもあるかもしれません。
また、アフリカなどでは、在庫管理などもドローンを使用しておこなっているそうです。ドローンを広い倉庫で飛行させて、バーコードを読み取ることで、在庫を把握できます。これによって、人手不足を補うことができるのです。
このように、ドローンは世界中の産業で役に立っています。今後、ドローンが欠かせないものになるのも時間の問題かもしれません。
こうした点からみると、日本でのドローンの産業への応用は遅れているのかもしれません。しかし、言い換えればそれは、のびしろがあるということでもあるので、今後の日本におけるドローンの、さらなる展開を期待するのもよいのではないでしょうか。
市場拡大が期待されるドローン産業
今後さらに世界のドローン産業の規模は拡大していくことでしょう。将来的にドローンの活躍が期待されている産業はほかにもあります。
たとえば、空撮のほとんどは、今後ドローンを使っておこなわれるようになるかもしれません。テレビ番組などでも、ドローンによる空撮映像を目にするようになり、もはや珍しいものではなくなってきました。ドローンであれば、ヘリコプターなどに比べてはるかに低コストで空撮がおこなえるからです。
また、ドローンを用いて宅配をするという計画もあります。ネットで注文した商品がドローンによって自宅に届けられる、そんな光景がSFではなく現実のものとなるかもしれません。
警備ドローンというものも考えられています。ドローンはカメラなどのセンサー類を豊富に積んだ状態で自律行動が可能なので、移動する監視カメラとしての働きが期待されています。ほかにも、さまざまな業界でドローンが活躍していくのではないかと目されています。

ドローン産業の課題と目標
ドローンを産業に用いるためには、さまざまな課題があります。それは技術的な問題だけではありません。
まず、問題になってくるのが法的な部分です。現在の日本では、屋外でのドローン使用に厳しい制限が課せられています。
公共の場所などでドローンを飛ばすためには、行政の許可を取らなければなりません。許可を取ったとしても、さまざまな制約のなかで飛行させる必要があるのです。ドローンを広く産業界で活躍させるためには、こういったドローン規制のルールについて見直されなければならない部分も多くあります。
しかし、規制がないという状態がいいというわけでもありません。たとえば、プライバシー保護の観点からドローンが問題視されることがあります。どこにでも入り込めるカメラ付きドローンは、簡単に人の部屋などをのぞくことができてしまうからです。こうした事情を受けて、ドローンの規制が厳しくなっている部分もあります。
ドローンを産業に使うのに適した法規制が敷かれるのは、まだまだ時間がかかるかもしれません。それでも、ドローンは人の役に立つものであることはたしかです。よりよい生活のために、ドローンが使いやすくなるようなときが、近いうちに来ないとも言い切れないでしょう。
まとめ
ドローンはさまざまな産業において活躍しています。その用途は農業からインフラ点検まで、非常に多岐にわたっているのです。それぞれの産業に特化した産業用ドローンも作られています。
産業用ドローンの開発では日本は遅れているのが現状です。ただ、今後もドローンが産業に活用される場面が増えていけば、業界が活気づいていくことが期待できるのではないでしょうか。
しかし、そのためには技術的な問題から法やプライバシー保護といった多くの課題をクリアしなければなりません。これらの課題としっかりと向き合っていけば、産業用ドローンがより活用されるような未来がくるかもしれません。
