2018.11.19(月)
ドローンでイノシシを撃退!メカニズムと今後の活躍について解説

現在、さまざまな環境問題が叫ばれています。人と自然の付き合い方というのは、非常に難しい問題です。
そんななかでも特に身近な問題が、害獣です。特に、イノシシに農作物や人が襲われる被害が、近年全国各地で増加しています。
そのようなイノシシ被害の対策方法の1つとして今、ドローンが注目されているということをご存知でしょうか?
今回は、ドローンによるイノシシ対策について紹介していきます。どのようにドローンが活かされ、今後利用されていくのかをここで見ていきましょう。
超音波を利用してドローンでイノシシを撃退!
イノシシをドローンで撃退するといっても、決してドローンで体当たりをするというわけではありません。イノシシの撃退には、特殊な超音波を使います。
イノシシなどの鳥獣は、人間には聞こえない超音波の一部を聞くことができます。そのため、ある波長の超音波を大音量で鳴らすことで、人間には影響がないまま、イノシシなどには居心地の悪い空間を作り出すことができるのです。
従来はこの特殊な超音波を発するスピーカーを地面などに設置することで、イノシシ対策をしていました。しかしこの方法では、広大な土地を守るためにはたくさんのスピーカーを設置する必要があります。
そこで登場するのがドローンです。ドローンにこのイノシシ対策用スピーカーを搭載することで、広い範囲を簡単にカバーできるようになりました。ドローンは移動しながら超音波を発することができるので、より効果的にイノシシを追い払うことができるのです。
さらに、このドローンでのイノシシ対策には、人が入っていきにくい場所でも使用できるというメリットもあります。平野だけでなく山中などにも入っていけるのは、飛行能力をもつドローンならではの利点といえるでしょう。

ドローンは鳥獣害対策での活躍が期待されている
ドローンによる害獣対策は、イノシシの撃退に限った話ではありません。ほかにもさまざまな場面でドローンは活躍しています。
たとえば、害獣対策のためには必須である、鳥獣の生息域調査にもドローンが使われています。ドローンにイノシシ用スピーカーではなく赤外線カメラなどを搭載することで、夜間でも簡単に生き物を発見することができるのです。
生息域調査にドローンを活用することは、移動する群れを追う際にも有効です。人間では追いきれない動物であっても、ドローンであれば上空から追跡を続けることができるでしょう。
さらに、ドローンは猟犬のような役割を担うこともできるのではないかといわれています。超音波によって動物を追い込み、カメラによって追跡できるドローンは、優秀な猟犬となってくれることでしょう。
ドローンの有効活用にはほかにもさまざまな方法が検討・実験されています。今後のドローン技術の発展やドローンに関する法規制の緩和などによって、より多くの場面にドローンが使われるようになるかもしれません。

ドローンによるイノシシ対策を導入するためには
ドローンでのイノシシ対策は非常に有効ですが、ドローンはだれでも簡単に使ってもいいというものではありません。ドローンを導入するためには、さまざまなハードルがあります。
まず必要なのは、ドローンの操縦技術です。イノシシをドローンで撃退する場合も、ドローンで生息域調査をする場合でも、まずはドローンを飛ばせるようにならなければ始められません。
しかしドローンの操縦技術を身に着けても、まだドローンを飛ばすには確認しなければならないものがあります。それは、ドローンに関する法律です。
ドローンの飛行は航空法という法律によって厳しく制限されています。さらに公道でドローンを飛ばす場合には道路交通法、私有地上空であれば民法といったように、ドローンの飛行には多くの法律が絡んでいるのです。
たとえば航空法では、夜間の飛行や目視外での飛行が禁じられています。夜行性であるイノシシを対策するには夜間の目視外飛行が必要ですが、勝手に飛ばしてはいけません。
ほかにもさまざまな規制があるため、ドローンを飛行する際には必ずチェックするようにしましょう。航空法によって規制された状況でのドローン飛行をするためには、国土交通省に飛行の許可を取る必要があります。国土交通省への許可申請が認可されて初めて、ドローンを夜間や目視外といった環境で飛ばすことができるようになります。
国土交通省からの飛行許可をもらうにも、多くの条件を満たさなければいけません。特に有名な条件が“総飛行時間が10時間を超えていること”です。しっかりと練習して操縦技術を身に着けている人でなければ許可は出ないのです。
しかし、国土交通省の許可なしでドローンを飛ばせる場所は多くありません。また、実際に10時間以上飛ばしていたとしてもそれを証明するのは困難です。
そこでおすすめなのが、ドローンスクールを受講することです。ドローンスクールでは、ドローンについての勉強はもちろん、実際にドローンを飛ばして操縦技術を身に着けていくこともできます。10時間の飛行時間という条件は、スクールに通っていればすぐにクリアすることができるでしょう。
また、ドローンスクールを修了するとドローンライセンスを取得することができます。ドローンライセンスを持っていれば、自分の操縦技術を簡単に証明できるだけでなく、国土交通省への飛行許可申請書類の一部が免除されることもあるため、非常に便利です。
まとめ
現在ドローンはイノシシなどの鳥獣対策にも用いられています。従来の設置型スピーカーと違って移動しながら超音波を発することができるドローンは、イノシシをより効率的に撃退することができるのです。
また、イノシシ対策以外にもドローンは活躍しています。赤外線カメラを用いた鳥獣の生息域調査はその代表といえるでしょう。
ドローンによるイノシシ対策は有効ですが、ドローンの飛行は法律によって規制されていることに注意しましょう。ドローンスクールを受講することで、許可申請が簡単になるのでおすすめです。
