2018.10.30(火)
ドローンが建築業界に革命を起こす!「i-Construction」とは?

「i-Construction」という言葉を聞いたことはありますか?近年、農業や物流などの分野と同様に、ドローン活用の波が建築の世界にも広がりつつあります。たとえば、川の護岸工事では正確に川幅を計測する必要がありますが、人力だと深みに足を踏み入れてしまい流されてしまうなどの危険を伴います。しかし、ドローンで撮影すれば安全に測量ができ、人件費などのコストも削減できます。
建築現場でのドローンの飛行には許可が必要です。ドローンに関連する資格のなかには、持っていると許可を取る際有利になるものもあります。今回はドローンの建築現場での活躍やドローン飛行に必要な資格についてご紹介しましょう。
建築業界の課題と「i-Construction」
現在、建築業界ではさまざまな課題があります。そのひとつが人手不足です。
辛い仕事というイメージがつきまとう建築業界全体では労働者が少なくなっており、1人あたりに求められる労働力が過剰になっている傾向がみられます。若手の労働者が入ってくることが少ないうえに、今後は高齢になった就業者も大量に離職していくことから、労働者不足はこの先も変わらず深刻な問題でしょう。
また建築業界はほかの業種に比べて、生産性の向上が遅れていることも以前から問題として指摘されてきました。コンクリート工など人手を必要とする仕事がまだまだ多いためです。
これらの建築業界の課題を解決する方法として打ち出されたのが、「i-Construction」です。i-Constructionとは、国土交通省が建設現場の生産性を20%向上させることを目標としている取り組みをいいます。そのうちの1つがドローンなどのICT(情報伝達技術)の活用です。ドローンを建築現場に導入していくことで、1人1人にかかる労働量を減少させ、さらに生産性を向上させていくことをねらいとしています。

ドローンは建築業界でどう活躍している?
では、ドローンは建築の現場でどのような活躍をしているのか見ていきましょう。
高所の撮影
建築の計画を立てる際に、高所から見た写真が必要な場合があります。これまで建築現場を高所から撮影するには、クレーンを使ったり近くの建物の上から撮影しなければなりませんでした。しかし作業中の事故や人員不足、建物への立ち入りの許可などは作業の効率性を下げてしまいます。
しかし、ドローンを建築現場の上空から撮影すればこれらの課題を簡単に解決できるのです。ドローンであれば操縦士1人がいればよいため、人件費や事故のリスクは減少します。また工事現場が海や川岸の場合でも、上空からのほうが安全で簡単です。さらに撮影用クレーンなどの重機を用意する必要もなく、コストの削減にもつながります。
進捗管理
ドローンは建築の進捗(しんちょく)管理でも活躍します。それはドローンを使って、上空から定期的に工事現場を撮影する方法です。すると、どのくらい工事が進んでいるのか一目でわかります。また映像で管理するので、進捗状況を依頼者に報告する際にも活用できるでしょう。実際に、新潟県の胎内(たいない)市の体育館建設ではドローンによる進捗管理がおこなわれました。
3Dモデル作製
ドローンで撮影した映像は3Dモデルとして使用できます。現場の平面はもちろん、断面や土の量まで計算できるのです。そのため、人の目よりも詳しく現場を把握できます。大規模な工事現場であっても、少人数で短時間の測量で済み、3Dモデルを使って工事の進捗管理も可能です。また事故がおこりうる危険な現場を把握してから工事に取り掛かれるため、安全対策にもなります。

屋根・外壁の点検にも大きく貢献
建物はときに台風などの自然災害に見舞われます。暴風などで屋根や壁が壊れてしまうこともあるでしょう。そういったときのためにも、定期的な屋根や外壁の点検が必要です。しかし大きな建築物の場合、点検の範囲が広く、多くの人数でおこなわなければなりません。足場が崩れやすくなっている場所を点検しなければならないときもあり、危険をともないます。
しかしドローンに建築物を点検させれば、そのような問題も解決できます。とくに高層マンションや山間部の現場などでは点検箇所が高所にある場合が多いですが、ドローンを使えば容易におこなえます。またドローンで撮影した写真を蓄積しておけば、建築の途中でどこにひびや亀裂が入ったかなどを確認することもできます。
なかには、亀裂部分は温度が変わることを利用して、赤外線サーモグラフィーを搭載して亀裂を発見するドローンもあるようです。このドローンによる最大のメリットは高く危険な場所を広範囲に、安全に点検できることです。
ドローン建築に必要な知識と資格
建築の現場で、ドローンは大変役に立ちます。しかし、ドローンは誰にでも操縦できるわけではありません。ドローンに関する確かな知識と技術、資格などが必要です。
ドローンを建築現場で使用する場合には、いくつかの注意点があります。まずドローンの機体が200g以上である場合には、航空法の規制対象です。200g以上のドローンが以下の空域を飛行する場合には国土交通省から許可が必要となります。
・空港周辺
・人口密集地の上空
・地上から150m以上の上空
また以下のような飛行方法でドローンを飛ばす場合にも同様に許可が必要です。
・日中以外の飛行
・目視外の飛行
・人や物との間が30m以内の飛行
・爆発物・劇薬などの危険物を輸送する飛行
・ドローンから物を落下させる飛行
航空法以外にも、小型無人機等飛行禁止法や道路交通法などの規制を受ける場合もあるようです。ドローンで法律に違反すると罰金刑などを受けますので、注意しましょう。
今後のドローン運用の広がりにもよりますが、活用の場面が増えれば安全に運用するための規制は増える可能性があります。そのためにも、ドローンに関する規制について知っておかなければなりません。
しかし、たくさんある規制を1人ですべて学ぶのは難しいですし、時間もかかります。ドローンの勉強をする際にオススメなのがドローンスクールです。ドローンスクールでは、基本的なドローンに関する知識や技術の習得に向けた講義が開かれています。
またドローンの飛行許可を得る場合には、JUDIA(一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会)やDJIなどドローンの民間資格や安全運行管理者の資格を取得していると、審査を有利に進められるでしょう。資格の取得方法や許可申請の方法についてもドローンスクールで学ぶことができます。
なかでも、注目なのは建設業や林業など今後ドローンの活用が見込まれる分野の講義です。たとえば、建設業であれば測量や3Dの設計データの作成などi-Constructionについて学ぶ講義が開かれています。またスクールでは、ドローンの民間資格についての知識も得ることができるため、通いながら資格取得を目指せるでしょう。スクールに通いながら、i-Constructionの知識と資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ
今回は、ドローンを建築現場に導入するi-Constructionについてご紹介してきました。現在、建築の現場での人手不足は深刻な課題です。その解決策のひとつとして、ドローンの活用は建築の現場で広まっていくでしょう。とくに測量や進捗管理などの労働者にかかる負担が大きい仕事の、頼りになるパートナーとなりそうです。
しかしドローンには確かな操作技術がないと最悪の場合、事故につながります。また許可が必要な飛行にも関わらず、許可なく飛ばしてしまった場合は罰金刑などを受けることがあります。それが事業であれば、会社のイメージダウンや利益を損なうことにもなりかねません。
知識と技術をしっかり学ぶためには、ドローンスクールをおすすめします。
